W.本事業で研究したスポーツ種目

3.グラウンダーボール
          (埼玉県立蓮田養護学校)

(1)ゲームの特徴
 車椅子に乗った選手がバドミントンまたはバレーボールのネットをはさんで、床に転がるボールをスティックで打ち合う競技です。バレーボールとホッケーをあわせたような競技です。スティックを振るのが難しい人は車椅子専用の補助具をつけて競技に参加することができます。ネットをはさむため、熱中していても相手チームの選手との接触はほとんどなく、安全です。

(2)用 具
 @スティック
  ア. ユニホック用スティック
  イ. ゴルフクラブ(プラスチック製おもちゃ)
  ウ. オリジナルスティック
 (ア)角材に厚紙をホチキス等で固定したもの。(写真1)
 (イ)軽い中空の金属棒等にグリップとヘッドを手作りで取り付けたもの。
   本校卒業生作成。(写真2)
  エ. 補助具 (写真3) (図1)
車椅子に直接取り付け、車椅子が前後する勢いを利用して、ブルドーザーのようにボール
を押し出す道具です。本校職員が考案作成しました。塩ビ管やアクリル板を組み合わせて作成しました。取り付けはひもを利用します。様々な型式の車椅子にとりつけるのによい方法を検討中です。
*詳細は(5)に図示。

(写真1)

(写真2)

(写真3)

(図1)


 Aボール
  ア. 小学部・・・発泡スチロール製ボール(写真4)
  イ. 中・高等部・・・プラスチック製穴開きボール(写真5)

(写真4)

(写真5)


(3)ルール
 @小学部用ルール
  ア. 試合開始はキャプテン同士のじゃんけんによりサーブを行うチームを決定します。ゴールラインとネットの中間の線付近からサーブします。失敗した場合、もう一度サーブできます。
  イ. 得点について
ボールが相手コートのゴールラインを越えた時。
  ウ. 基本的には上記の2点だけですが、その他の細かい点については、児童に自分たちでルールを決めさせ、確認した上でゲームを行います。

 A中学部・高等部用ルール
  ア. 試合開始はキャプテン同士のじゃんけんによりサーブを行うチームを決定します。サーブ権をもっているチームの後衛プレーヤーのサーブ(サービスゾーンから)ではじめます。 (図2)
  イ. サーブの失敗
ボールがネット下を通過しなかった場合。
ボールがネット下を通過する前に味方プレーヤーに触れた場合。
ボールがネットに触れた場合。
  ウ. サーブのやり直しは2回まで。空振りは何回やり直してもいいです。
  エ. 得点について
(ア)ボールがゴロ(ワンバウンド以下)で相手コートのゴールラインを越えた時。 (図3)
(イ)ネットタッチ(車椅子、身体、スティックがネットに触れること)した場合。
(ウ)打ったボールがネットに触れた場合。(ブロックしたボールがネットに触れて出た場合は除きます。)
(エ)打ったボールがダイレクトで相手コート外に出た場合。(プレーヤーに触れて出た場合は除きます。)
(オ)打ったボールがネット上を越えて相手コートに入った場合
  オ. 一人のプレーヤーが続けてボールを打っても良いです。

(図2)

(図3)


(4)競技場

 @小学部・・・バドミントンコートを使用
  ア. コートの四隅は跳び箱調整板で囲みます。四隅のほかにそれぞれ一枚ずつ、任意の場所に跳び箱調整板を置く場合もあります。
  イ. サイドのラインもゴールラインです。
  ウ. ネットを挟むサイドのゴールラインは防球ネットを設置します。ただし、審判側には審判がコート内にすぐに入れるように、中央寄りに跳び箱調整板を設置します。
  エ. 中央のネットを低く張り、ボールが転がって通り抜けるくらいの隙間を空けます。

バトミントンコートを使用時


 A中・高等部・・・バレーボールコートまたはバドミントンコートを使用
  ア. コートの四隅は跳び箱調整板で囲みます。
  イ. サイドのラインもゴールラインです。
  ウ. ネットを挟むサイドのゴールラインは防球ネットを設置します。
  エ. バレーボールのネットは低く張るのが困難な事が多いので、ボールが転がって通り抜けるくらいの高さにロープ等を張ります。

バレーボールコートを使用時


 人数が多かったり、スケールの比較的大きなプレーが期待される場合には、バレーボール用のコートが利用し易いです。少人数で比較的繊細なプレーが期待される場合には、バドミントン用のコートが利用し易いです。
利用者の実態と施設の状態に合わせて臨機応変に設置してください。

(5)工夫した点
 電動車椅子を使用している生徒は、利き手を車椅子の操縦に使用するためにスティックを持ちながらプレーするのは困難です。従って、アクリル製の補助具を作製し、車椅子の前面に装着してボールを止めたり、運んだり、車椅子の回転を利用してボールを打ったりすることを可能にし、誰もが参加できるようにしています。生徒の車椅子の形状により、装着方法はそれぞれ異なっています。下記に示した図は「(2)用具」の頁で紹介した補助具の拡大図です。本校の美術科担当職員が開発したものです。頑丈すぎても危険なので、ある程度以上の衝撃を受けると、破損するように製作してあります。使用しながら徐々に補強を加えています。
(台 秀彦)


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