中村康祐さんへ感謝を込めて
奈良支部 藤田桂子
ある日の病院の昼下がり、まだ誰も戻ってきていない奈良医療センター・活動室の机の上、透明の箱の中でシュッシュッと音を出しながら糸状のものが繰り出されて中央の物体と一体になっていく。奥にいた療育のスタッフが「康祐さんが病室から遠隔で3Dプリンター起動されています」と笑顔で答えられます。前も活動室に話題の pEppERがいて驚いたことがありました。
康祐さんの姿と機器のなくなった部屋の一角を目にする度に、口にはできない寂しさを皆が感じています。そして「46才の生涯を病院で生き抜いた康祐さんのこと」を記したいと思い筆を執りました。デュシェンヌ型で12歳より入所、中学・高校は隣接する養護学校に通い、呼吸器を着けるまでは、家族や協会企画の海外旅行に出かけられていたと聞きます。機械が好きでパソコンに興味を持ち、卒業後も病棟で生活しながら独学で知識を習得して「ロボットの製作とその操作が誰でもできるプログラム作り」をテーマとして活動されてきました。
毎年恒例の「ロボまつり」では、市内の高校のチームを招き、机上のコートで両チームのロボットがサッカー対戦やゲームを繰り広げます。他にもコミュニケーションロボットとのトークショーや、企業から貸し出されたpEppERにプログラムした技の披露などギャラリーも楽しめるイベントでした。
この数年は座位がとれる時間が限られてきて、活動時間の確保のためベッド上と活動室をリモートで繋いで指示を出すなど工夫をされていました。そんな時でも頼まれ事はいつもこころよく引き受けて、わからないことは調べて答えてくれる。「親切で頼りになる」彼の人柄に触れて誰もがそう感じました。
「一日も早く」の294号に始まり、その後二度活動を紹介してこられました。「病院での生活でも自分のやりたいことがかなう」と康祐さんの生き方が教えてくれたことはこれからも皆を励まし続けるでしょう。ありがとうございました。
入所する奈良医療センターで令和3年7月28日に開催された第11回ロボまつりでの故中村康祐さん
※中村康祐さんには、これまでにホームページへ多くの寄稿をしていただきました。
「一日も早く」シリーズ「輝いている会員の姿」 奈良支部 中村 康祐さん NO.294平成28年7月18日発行
3Dプリンターで造形を出力(奈良医療センター)令和元年10月18日
『アバターミュージック2022を経て』(2022年6月5日開催)令和4年6月22日
(以上、ホームページ運用チーム)
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