JKA電話医療相談へ寄せられた質問と回答の一部
日本筋ジストロフィー協会は、公益財団法人JKAから補助金を受けて電話による医療相談とピアカウンセリングを毎月1回ずつ実施しています。相談の対象は、会員はもちろん、会員以外も含みます。このうち令和3年度医療相談に寄せられた質問とその回答のごく一部をご紹介します。相談員は、筋ジス協会専属医で、長年にわたって筋ジス医療に従事される石原傳幸先生です。
医療相談は原則として毎月第3 金曜日の午後 1時半から午後4 時半まで。
ピアカウンセリングは原則として毎月第4金曜日の午前11時から午後 3時まで。
Q:父が顔面上腕健康型と診断されています。その子供は現在症状ありませんが、遺伝子検査を受けることは可能ですか?また可能な場合、どこへ問い合わせたら良いですか。
A:結構難しい質問です。お気持ちはわかりますが、倫理的に発症していない個人の遺伝子検査は受けられないことになっています。現在は薬の治験も行われる時代になり、早期発見治療の立場から早く発見しておくことも大切な時期に差し掛かっていると思います。
東京にアクセスできる地域にお住まいであれば国立精神神経医療研究センター神経内科に相談されてはいかがでしょうか? また協会HPのリンク集に、遺伝カウンセリングを受けられる施設を検索できるサイトが紹介されていますのでご参考になさってください。
Q:孫がデュシェンヌ型と診断されました。鍼治療がいいと聞き、新幹線で1回10万円かけて治療を受けに行っていますが良くなりません。
A:鍼は医学的には効果を認められていません。煎じ薬も同じです。
Q:誤飲性の気管支で最近入院しました。先生にはこれからも誤飲を繰り返すようなら胃ろうも考えなくてはいけないと言われました。胃ろうにしたら口からは一切食事や飲み物は取れなくなるのですか?
A:確かに誤嚥を繰り返すのであれば胃ろう手術はしたほうがいいと思います。
胃ろう手術をしても、口の中に全く食べ物を入れてはいけないという事もありませんので、食物を入れて味を楽しむことはできます。胃ろうチューブと口からの少ない食事をした患者さんも見たことがあります。
Q:ベッカー型(BMD)と診断されていますが、遺伝子検査はしていません。担当医に遺伝子検査を希望したら、もし違っていたらこれまでもらっていた補助を返さないといけなくなるからやめた方がよい、と言われました。
A:遺伝子検査をして陰性でも、BMDではないとはいえないため、補助を返さないといけなくなることはないと思います。将来的なことを考えると遺伝子検査をしておいた方が良いです。遺伝子検査をやりましょう。
Q:5年位前から上腕があがらない、首が持ち上がらないなどの症状が出てきて、1年前からどんどんやせてきています。筋肉が痛いですが、呼吸は問題なし、発熱なし、関節痛もありません。また家族歴はありません。
A:筋ジストロフィーではないように思われますが、他の進行性の筋疾患、ALS、筋炎などの病気も考えられるため、筋疾患専門機関への受診をおすすめします。
(会報「一日も早く」326号に収録)
(以上、ホームページ運用チーム)