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第56回全国大会 大会決議文

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第56回全国大会 大会決議文

 

 私たち、日本筋ジストロフィー協会が設立され55年が経過しました。これまで多くの筋ジストロフィー患者が、志半ばでこの世を去っていきました。私たち患者・家族の最大の願いは、一日も早い「根本治療の確立」です。

 昭和43年から始まった筋ジストロフィーの研究は、半世紀近くが経過し、遺伝子治療への道筋が付き進もうとしています。つい最近においては治療薬が承認され治療開始も現実となりました。またiPS細胞による研究も進んでおり、私たちは希望の光として、大きな期待を寄せているところです。

 これもひとえに日夜研究に熱意をもって取り組んでくださった研究班の先生方や関係者の皆様のご尽力の賜と感謝しています。併せて、根本治療の確立に向け今後とも更なる研究を切にお願いいたします。

 さて、ここ数年筋ジストロフィー協会は会員数の減少が進み、各種補助金も削減されて、令和元年を迎えました。それに伴い私たちの患者会も新たな局面に入り、今以上に患者に寄り添った施策を考えていく時期に入ってもいます。これからも会員同士のコミュニケーションを大切にし、お互い持ち得る事を吸収あるいは共同歩調で、自分たちの事として今後の行動に取り組んでいかなければなりません。

 そして、国を含む関係機関への要望活動、筋ジス研究への様々な協力、協会組織内の充実と体制強化、本部・支部・病型別分科会の事業の推進強化について、今年も重点的に取り組む計画があります。一方入所患者では、病床数減少による病棟過剰の状態と医師・看護師・介護職員・保育士不足により、患者のケアが十分でなくなり、病院の格差も発生し、更に日常生活のQOL低下が危惧され、在宅患者では患者家族の高齢化と介護・看護の支給時間の不足等の問題も起こっております。

 一人の人間として自己選択・自己決定による人生を実現するためには、一日も早い治療法の確立のみならず、QOL の向上が重要であり、これからも患者・家族と関係者が一丸となって協会の運動を、更に推進していく必要があります。

 第56回全国大会開催にあたり、日本筋ジストロフィー協会は、次のことが実現するよう活動を強化し、要望することを決議いたします。

 

1 .根本治療法の開発促進と研究体制の強化の為に、国立研究開発法人 国立精神・神経センター神経研究所遺伝子疾患治療研究部の部長に、従来通り筋ジストロフィーを専門とする研究者を一刻も早く着任させることを切に願う。

2 .療養介護病棟の入所基準(障害支援区分)の緩和と実態把握及び適正施策の推進。

3 .筋ジス入所患者の療養生活改善のため、医師・看護師・介護職員・保育士の質量の増強。

4 .災害対策の強化(人工呼吸器利用者の連絡網の整備と病院備蓄燃料の積み増し)。

5 .在宅患者に対する居宅介護や重度訪問介護の適切な支給時間の確保。

6 .訪問看護師・ホームヘルパーの人員不足解消のための施策。

7 .介護職員による特定医療行為の安全対策と職員増員のための施策。

8 .普通学校及び特別支援学校における筋ジス患者への対応強化と促進。

 

令和元年5月18日

 

一般社団法人日本筋ジストロフィー協会 第56回全国大会

  患者代表 田中 勝俊

 

(以上、ホームページ運用チーム)