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治療薬開発でPMDAへ特別要望書を提出

日本筋ジストロフィー協会の竹田保代表理事は3月7日、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)を訪ねて、「希少難病の治療薬開発に関する特別要望書」を提出しました。治療薬開発についての陳情は、昨年6月21日に続いてとなります。

 

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)
理事長 藤原 康弘 様

希少難病の治療薬開発に関する特別要望書

(一般社団法人)日本筋ジストロフィー協会
理事長 竹田 保

 日頃より当協会活動へのご理解とご支援を賜り深く感謝申し上げます。

 日本筋ジストロフィー協会は「根本治療法の確立」と「患者のQOLの向上」を目標に1964年に結成され、療養病棟の普及など我が国の障害当事者団体の活動の先駆的役割を担って参りました。

 さて、筋ジストロフィーは代表的な希少難病であり、長らく治療不可能と言われておりましたが、近年の遺伝子医療技術の進歩により、2020年3月、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(以下、DMD)の治療薬「ビルトラルセン」が承認され患者・家族は大きな希望を得ました。しかしながら、この薬の治療対象はDMD全体の8%程度に過ぎず、他の遺伝子変異に有効な新薬開発が待たれているところです。DMDは小児期発症のため、日々進行する病態に大きな不安と苦痛を感じつつ生活しております。安全性に懸念がなく、病気の進行を遅らせる効果のある薬剤であれば一刻も早い承認を熱望しております。

 2021年1月、国内D社が開発した新薬が治験を終えましたが、有効性が十分でないとの理由で薬事規制当局の承認が得られておりません。この出来事を私たち筋ジストロフィー患者・家族はこのままでは、筋ジストロフィー治療薬の開発から薬品メーカーが撤退してしまうのではないかと危惧し、非常に大きな危機感を持って受け止めております。

  海外では、2023年6月22日にアメリカ食品医薬品局(FDA)がDMDの遺伝子治療薬エレビディスを迅速承認しました。アメリカではすでにDMD患者さんへの投与が進んでいます。一方、国内においては未承認です。会員からも日本における使用に関しての問い合わせもあり、日本の患者さんは治療の機会が失われているドラッグラグの状態です。

 つきましては、日本国内においても早期承認並びに保険適用を早急に実現するように強く要望いたしますとともに以下の3点に関し早急に対応していただきたくここにお願いする次第です。よろしくご検討ください。

 

1. 希少疾病用医薬品の新たな審査区分の設置
 医薬品の承認制度では、通常審査に加えて、①特例承認(2010年)、②再生医療製品の条件及び期限付き承認(2014年)、③条件付き承認(2017年)、④緊急承認(2022年)制度を設け社会の新たな要求に応えてきました。
 希少疾病用医薬品の審査は③条件付き承認で扱われますが、ここでは安全性の「確認」に加えて有効性の「確認」が必要です。患者数が少なく治験が困難な希少疾病に関しては、有効性が「推定」で認められる②あるいは④における審査基準が実態に合っているように思われます。希少疾病用医薬品に関する新たな審査区分を作っていただけないでしょうか。

2. 新薬審査における患者参画
 わが国においては、医薬品の開発および審査は患者抜きに行われています。米国では2000年代から医薬品の開発から審査に患者が参画し大きな成果を上げてきました。近年、PMDAを始めAMED、民間製薬メーカーも積極的に患者参画に乗り出しています。残念ながら、日本の患者団体の力は弱く患者参画実現の障壁は高くなっておりますが、筋ジストロフィー協会は患者参画に強い意欲を持っておりますので、是非、厚生労働省およびPMDAが中心となって患者参画制度の枠組みを作っていただきたい。

3.希少疾病用医薬品開発メーカーへの支援拡充
 希少疾病用治療薬の開発においては、治験者数が限られ治験に時間を要すること、承認後も使用者数が限られること等から開発メーカーのリスクが大きく、新薬開発の大きな障害となっております。つきましては、製薬会社等の民間企業が希少疾病の創薬に積極的に取り組めるよう、希少疾病の創薬支援制度のさらなる充実をお願いしたい。また、神経筋疾患には様々な病型があるため、現在、十分に研究が行われていない病型にも研究費の助成を拡大していただきたくお願い申し上げます。

 現在、筋ジストロフィーは治療できない病から治療可能な病へと変化しようとしています。この機会を逃さず、世界に先駆けて有効な治療薬の開発を進めていただけますよう重ねてお願い申し上げます。

 

 令和6年3月

以 上

 

☆【速報】治療薬開発でPMDAへ要望書提出 令和5年6月23日

 

 

(以上、ホームページ運用チーム)

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