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福島での生活とバリアーを考える そしてユニバーサル デザインへと・・・

  1. 私の住んでいる福島です。
  2. 自宅のアプローチ・玄関廻り
  3. 既存の玄関の様子
  4. 寝室と居間の様子
  5. 私の水回り空間
  6. 浴室廻りの様子
  7. 事務所の玄関
  8. 事務所の玄関と室内
  9. 事務所のトイレの様子
  10. ケルンでのユニバーサルデザイン
  11. 街の中にはユニバーサルデザインが多くあった
  12. ケルン市庁舎の車椅子トイレ
  13. グループホームの水回り等
  14. 電車とバスが同じレベル
  15. ドイツでの福祉機器展より
  16. 時空を超えて移動したい!!

住宅改修事例集(平成16年)へ戻る


1.私の住んでいる福島です。

初めに、縁あって私の身の回りの生活空間と、経験したバリアーを紹介させて頂きます。折角の機会ですので、居住空間を少し広くして紹介させて頂きます。

筋ジストロフィーとの付き合いも長く30数年がすぎますが、色々な経験と初めて直面する困難な事など、ご覧の皆さんもあると思います。軽い気持ちで発表紹介させて頂きますので宜しくお願い致します。私の住んでいる福島は、南東北に位置して盆地の中央に信夫山があり、果物と自然が自慢な所です。写真は福島駅の西口と、信夫山を背にした事務所近くの美術館です。遠方の方は会津磐梯山はご存じですか?


2.自宅のアプローチ・玄関廻り

自宅の前のアプローチです、全面は県道で交通量がありますのと、高低差がありますので、玄関は、スロープによってレベルを調整しています。滑り難いブロック敷きになっていますが、冬の雪は車椅子では、かなり使いずらいです。

特に、雨除けがないので、雪には困ります。福島は割合東北の南に位置しますが、山沿いや北国の方の、雪の大変さがわかります。

玄関が並んで2か所あります。 7~8年前は歩行可能でしたので、病気の進行に合わせ、出来るだけ自力で使える様に、古い玄関は、段差の解消を2度繰り返しました。

結果的に新たに専用の車椅子でも使えるバリアーの少ない玄関をつくりました。 結果的には、出入りに勾配あるのと踊り場が少ないので、慣れないと少し危ない作りになってしまいました。


3.既存の玄関の様子

歩行可能の時の玄関です。段差を低してあります。元々は、後ろの廊下のレベルで、日本建築の一般の高さで、座るには丁度良い高さですが、段差がありすぎました。

5年前の骨折の時、退院に合わせ急遽改造したときは、完全に段差を無くしスロープ作り、床の滑り防止にカーペット敷きなっています。
介助により歩行可能でしたので、リハビリ用の手すりもつけました。
玄関廻りを低くして、床の滑り止め手摺りと浴室・洗面所を(トイレを含めて)改造しました。

幸いにも全面に敷地に余裕がありましたので、庭をすこしつぶして、玄関と通路を増築しました。

私が多少建築に関係する仕事をしていますので、簡単なスケッチで、確認申請などを出さなくて良い範囲で、ローコストで仕上げる工夫をしました。

結果的に、玄関は2度改造しています。


4.寝室と居間の様子

私の寝室は、アコーディオンカーテンにより間仕切り出る様にしてあり、写真にありませんが、手前が居間になっており机があります。

トイレと洗面室を、急遽改造しました。使ってみると色々と不具合も多くあります。その時に、電動ベットにして、福祉制度は利用しませんでした。車椅子も手配が遅れ・・歩いて帰りたい一心と覚悟でしたので・・病院の云う事を聞けば50万円位他に回せました。少し残念ですね・・・

  • 奧が洗面・トイレです。
  • 前方が庭になっています。
  • 床は冬には寒いのですがフローリングにして部分的にジュータン敷きにしてあります。
  • ご紹介し難いのですが、通風性と明るさの取り入れには配慮してあります。
  • 両親と弟家族と一緒の生活ですので、食事は介助により居間に移動しています。朝はこの部屋で、食事にします。
  • 父親のカメラマンと古いデジカメで広角でないので見づらくて申し訳ありません。

5.私の水回り空間

隣室の洗面トイレです。

車椅子対応でのトイレと洗面が出来る様に作りました。お給湯量の具合と、洗面器と鏡の高さ調整などは、要検討事項です。スペースの制限から小型の手洗器にしましたが、洗髪出来る形状が出来れば良かったと思います。

やたらと手摺りがありますが、必要な時期もありました。

  • 冬季間の為の、電気ストーブとシャワートイレは必要ですので、コンセントは多めに取付する事をお勧めします。
  • トイレは広めに作ってあります。洗面器は少し貧弱でした。
    当然。車椅子トイレとして考えなので、ドアは引き戸として、引き戸の取っ手は縦長の低めの位置に設定されています。大きくない家ですが、トイレが3ヶ所出来てしまいました。
  • 工事費は200万位でした。
    幸いに、既存浄化槽と配管が近くにあった事でスペースが確保出来た事により、割に格安に実現出来ました。

6.浴室廻りの様子

浴室はこれから問題のエリアになっています。車椅子で浴室まではいけますが、衣服の着脱が、大変です。

浴室ドアがセンターなので直進で車椅子で入る事がやっと出来ますが、回転は出来ません。
引き戸にするか折り戸にして、脱衣の洗濯機とかを移動させないとスペースが確保出来ません。前の改造で、ユニットバスか在来工法での浴室改造か考えましたが、結果的に浴槽の位置をずらして、床のレベルを優先に改造する事にしました。

現在は段差を解消してあるので、介助移動で、浴槽の淵に座り直して入浴しています。

  • 病気の進行と共に、浴室の改造
  • 玄関廻りの改造、そして完全車椅子への対応と3回改造しています。
  • 浴室の改造費は、概ねタイルと浴槽などで、250万位でした。

7.事務所の玄関

自宅から8km離れていますが、設備設計事務所で、日中は仕事をしています。自宅と同じで、病気の進行と共に2度ほど改造工事をしています。

  • 手前が駐車場になっており、雨・雪に濡れないで車の乗車が出来ます。
  • 意匠的にも配慮してあるつもりです。

  • 玄関へのアプローチです。設計は自分でやり、施工は親戚の工務店に、直接交渉してやってもらいました。
    ローコストですので、土間はコンクリート素地がそのままもありますが、目地などを工夫するだけで、十分な場合もあります。

8.事務所の玄関と室内

出入りに対しては全くバリアーが無いような考えでしたが、ドア枠(靴擦り)が結構なバリアーになっています。室内から玄関と私がいるのが、奥の部屋です。

半分だけ、蓄熱式の床暖房が設備されています。

少し重たいドアと、補助用の手すりが長く取付けました。床の仕上げを工夫して、土足と上履きを区別してあります。下足の時に誰でも使える、長めの手摺は好評でした。

インターホンのスイッチの高さと車椅子での寄付きには工夫が必要でした。


9.事務所のトイレの様子

既存のトイレと手洗スペースを改造して多目的トイレとして改造しました。手洗と手摺りは新規に追加しました。古いトイレは女性用として、ブースが別になっていましたが、全部撤去してから、レイアウトを検討して、車椅子対応としました。

あまりスペースに余裕がある訳で無かったので、手洗器は小型な物になっています。車椅子ではかがむ高さが高すぎますので、傾斜するか、低い位置から長めに誰でも使える様な工夫が必要でした。

古い機器を利用しましたので、引き戸と内装工事と配管などで100万位でした。


10.ケルンでのユニバーサルデザイン

大腿骨骨折から、急遽車椅子の生活になり、落胆の中で、共生社会の実現と、バリアーフリーから、ユニバーサルデザインの勉強する機会を得て、ドイツ・ケルン大学での研修する事ができました。

日本では思い付かないスロープとエスカレーター雨・雪はどうなるのか不思議でした。ケルンの福祉・バリアーをハードとソフトを併せて紹介させて頂きます。古い物と歴史を大事にする事が基本でした。


11.街の中にはユニバーサルデザインが多くあった

誰もが住みやすい・安心して住める街を目指し、古いものを大事にして20年先の事を考えて論議しながら計画を作っていました。
インクルージョンて知っていますか。


12.ケルン市庁舎の車椅子トイレ

  • トイレの中はシンプル質素のレイアウトでした。
  • 角度がワンタッチで変わる鏡と、センサー付の自動ドアが回転でも十分機能しているのに驚きでした。

13.グループホームの水回り等

ケルンでは6人がユニットとなり、グループホームで生活して支援を受けて就労していました。グループホームの内部は、基本的な事は自宅の改造と異ならない事に少し驚きでした。

障害が重度にない場合が、対象の様ですが重度と言われる場合は問題の様です。


14.電車とバスが同じレベル

日本でも、交通バリアーフリー法で整備が進んでいますが、ケルンの交通は電車とバスを乗り継ぎOKでした。

ホームから簡単に乗り降り出来る工夫がしてあリ、地下鉄もありました。車椅子・自転車・乳母車は同じ軽車両とてしありました・・ラッシュ時はどうなるの??か心配でしたが、陽気に手と貸して頂きました。地下鉄もありますが、中心街から路面電車、とバスが放射線状の幹線を確保しています。


15.ドイツでの福祉機器展より

ヨーロッパは自転車の文化があり、車椅子を遠方まで簡単に移動するために色々と工夫がありました。日本の福祉機器展はまだ見ていませんが、日本でのテクノロジー持ってすれば、負けないと思います。


16.時空を超えて移動したい!!

乳母車も車椅子も同じ移動を補助する道具の一つでした。それらが、思い思いにより進化して、楽しく、オシャレな形状とカラーの組み合わせてをしていました。誰もが自分の思う所に行ける様に!、必要な人の為に技術を使うと云う理念を感じ取りました。