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シリーズ「輝いている会員の姿」 埼玉支部 名倉 洋治さん

「山田久美女流棋士より五段の免状をいただきました」

今回、『輝いている人』への指名を受けました。

 毎号このページに紹介されている方は、確かな目標と力強い行動力で活動されている方ばかり。それを踏まえると、最初「自分にそれほどの中身があるか?」と思いまして。ただせっかくの依頼ですし、自分が現在取り組んでいる数少ない活動を書かせて頂きます。

 自分は、埼玉支部が運営する『蓮田福祉学園』(日本財団の訓練指導の補助にて)のなかの将棋講座に受講生として参加。療養所で入所生活をしていた9歳の時に、そこで売店を運営していたお兄さんの誘いで将棋を始めました。そのお兄さんはプロの棋士の先生方と繋がりがあり、療養所では定期的にプロ棋士の方々による慰問会が開催。そこから派生した話によって、昭和61年に将棋講座が開講されたわけです。

 講師にはプロ棋士の先生が来てくださり、年に一度の認定試験で段級の免状を得られることで多くの先輩・仲間が入講。最盛期には、30人近くの人が受講生として席を同じくしていました。自分に将棋を教えてくれたお兄さんは四段の腕前をもつ人で、その意味でも絶対四段にはなりたいというのが自分の目標であり。ですが当初まだ自分は初段にもなっていなくて、先生方にもさぞ世話をかけさせたことと思います。

 「自分が将棋をやれることに意味があるか?」と何度も自問自答し、「もう将棋をやめよう」と何度思ったことか。しかし、そんななかにおいて自分の存在をライバルと思ってくれる仲間が絶えずいてくれたり、師範役として自分の存在を求めてもらえるようになったということがあったりしました。その経験から、自分は個人的に仲間と対局を楽しむ場をもったり、求めてくれる人との教室の場をもったりするようになったのです。そうして32年。現在自分は一応五段を認定されるようになりましたが、それは今までの努力への評価とこれからの取り組みに臨む使命と期待の数字だと先生に言われました。

 現在の自分の活動は一時期の規模はありませんが、見据えている志にもブレはありません。これほどまでに自分にやる気と希望を与えてくれた将棋と将棋界に対し、少しでも恩返しができるようなことをするーそのためにも、自分が役に立てるようなことがあれば迷わず頑張ってやりたいと思っています。