シリーズ「輝いている会員の姿」 青森支部 成田 佳樹さん
「モンゴルで障害者研修を体験」
私は平成6年に青森県で生まれました。幼少の頃にベッカー型のジストロフィーであると診断を受け、中学入学とともに自立歩行が不可能となり車椅子生活になりました。現在は青森市の自宅から弘前市の弘前大学に1時間ほどかけて電車と福祉タクシーを併用し通学し、情報工学を勉強しています。
私は昨年の夏、兵庫県の西宮市にあるメインストリーム協会という障害者自立生活センター(CIL)が実施する障害者のリーダー育成研修を受け、8月に2週間程モンゴルのCILに行ってきました。
研修では、障害者自身が自分の生活の中で何をしたいのか決め、自力でできずとも介助者のサポートを受けて実現していくという自立の概念や、それを支える当時者組織である自立生活センターの成り立ち、数十年前から続く障害者運動の歴史を教わりました。メインストリームでは主にまだ介助制度が無く、自立の概念が浸透していない途上国の障害者が自国でCILを作る支援を行っており、我々も運動の体験としてネパールの震災で被害を受けた障害者に対し、介助者とともに大阪から兵庫まで一日かけて練り歩き、野宿するという募金活動を行いました。なぜ野宿までするのか理解できませんでしたが、現地の人が置かれた状況に近いものを当事者自らが経験し、何でネパールの障害者に支援が必要なのかを訴えなければ募金も集まらないし、集まった所で一時的なものに過ぎない。その為に自分たち当事者が前に出て行く必要があり、この理念が障害者運動の根底にあるのだと感じました。
モンゴルではまだ行政の障害者への支援や福祉が整っておらず、介助者制度がなく、家族が責任を持って面倒を見る風潮があり、道も舗装されておらずバリアフリーの建物も少なかったです。その状況で障害者の自立した生活ができる社会を一から作っていこうとするモンゴルの方々の熱意を感じました。また、ゴビ砂漠に行ってラクダに乗ったり、言葉が通じない中、現地のドライバーをチャーターして湖まで旅をしたりして、色んな人に助けられつつも異国での旅を成功した事で、自分が障害者だからと言って無力なだけの存在じゃないと思えました。
私はこれまで障害を嫌なものだとしか思えませんでしたが、この研修を通し、障害者の立場だからこそできることがあると活動している当事者と、それを支える健常者スタッフや苦楽を共にした研修生の仲間と出会い、自分も彼らと同じように、精一杯に誇り高く自分にしかできない事をひたむきに突き進んでいきたいと強く決意できました。