名誉会長挨拶
日本筋ジストロフィー協会 名誉会長 衆議院議員 野田聖子
平成26年より、一般社団法人日本筋ジストロフィー協会の名誉会長を務めております野田聖子でございます。
前名誉会長が退任された後、しばらく空席となっていた名誉会長にご指名いただきましたことは大変光栄なことでございました。また、ご指名をいただくにあたり、貝谷理事長からは「自民党の総務会長(当時の役職)としてではなく、障がい児を持つ一人の母親としてお願いしたい」とのお言葉をいただきました。息子と抱える病気の種類や障害は異なれど、同じく日々を懸命に生きる患者やそのご家族、支援されている協会の一助になれればとの思いから名誉会長をお引き受けいたしました。
日本筋ジストロフィー協会は「根本治療法の確立」と「患者のQOLの向上」を目標に掲げ、患者やそのご家族に対しての情報提供や相談受付を行い、国及び政府に対しては、治療研究の促進、医療・福祉の充実、患児生徒への教育環境に対する配慮等を要請しております。平成27年に筋ジストロフィーが指定難病になった際には、指定を受ける以前に厚生労働省に対し、筋ジストロフィー患者に対する医療や福祉サービスが指定により低下しないよう求めるなど常に患者のために尽力をしております。
私が国会議員として心がけてきたことは、社会的に「弱者」と言われる方々のための政治を行うことです。特に息子が生まれてきてくれてからは、当事者の一人として、より一層政策に反映することが出来ました。
そのような中、平成26年1月に国会での議決を経て、日本は国連の「障害者の権利に関する条約」に批准しました。この条約は、様々な不利を受ける障がい者が平等な権利を得て自由を確保するため合理的配慮を行うこと、またそのために必要な措置を講ずることが求められています。「バリアフリー」という言葉は皆さまにも馴染みがあるかと思いますが、そもそもの意味は障がい者など身体に不自由のある方々にとって物理的に障害(バリア)になるものを取り除く(フリーにする)ということがはじまりです。そして現在では、物理的な障壁のみならず、資格・免許取得など制度的な障壁や文化・情報を取得する権利の確保、そして差別など意識上の心の壁などこれらすべての障壁をなくすことを指しています。そして、私の使命はこれらの真のバリアフリーを実現することであると考えております。
医療の進歩により、筋ジストロフィーの患者の延命も出来るようになりましたが、一方でQOLの向上をはじめ、看護対応が同時に求められております。さらには、在宅医療への対応も福祉の体制整備も必要性が高まっており、これらを必要とする患者にも先に述べた条約に基づき合理的配慮を行わなければなりません。
これらの課題とすべての患者を念頭に置き、ご期待に沿えるよう名誉会長として引き続き尽力してまいります。そして、多くの研究者が新薬の開発に向け日夜研究を重ねておりますが一日も早く根治治療薬が開発されることを心よりお祈りしております。
最後に、日本筋ジストロフィー協会が患者の負託に応え社会的使命として活動していく上では、国民皆さまの筋ジストロフィーという病気に対する深いご理解とご協力は不可欠でございます。皆さま方の温かいお力添えを賜ります様お願い申し上げご挨拶とさせていただきます。